5分でわかる!インドネシアのEC事情

ECコラム

基本情報

こんにちは。コンサルタントの多良です。
自然豊かな世界最大の島国、インドネシア。日本では、バリ島などのリゾート地としてのイメージが強いですね。人口は約2億7千万人以上(2023年現在)で、世界第4位の人口を有する国です。主要な島には全体の約60%が住むジャワ島をはじめ、スマトラ島、カリマンタン(ボルネオ島の一部)、スラウェシ島、パプア島などがありますが、地域によって異なる文化特性やアクセスの良し悪し、交通インフラの整備状況なども影響し、インドネシア全域でのマーケティングを行うことは特に難しいことで知られています。ローカル企業の成長も著しいので、海外の大企業であっても撤退を余儀なくされるなど、明暗が分かれるようです。

オランダの植民地だったことから、当時持ち込まれたコーヒーの生産量はなんと、ブラジル、ベトナムに次いで世界第3位!最近では経済発展に伴ってカフェブームが高まっており、おしゃれなお店やコーヒー豆も多いんだとか。カフェスペースを利用しての地域交流イベントや音楽ライブなども積極的に行われるそうですよ。

主要な宗教はイスラム教で、全人口の約87%を占めます。他にも地域によってはプロテスタント、カトリック、ヒンドゥー教、仏教などを信仰する人もいます。

インドネシアでよく使われているECは?

次にインドネシアのEコマース事情について、まずは、よく使われているECプラットフォームについて解説します。

1.Shopee: 東南アジア最大のダウンロード数

シンガポール発のShopee(ショッピー)は、東南アジア全域で急速に広がったECプラットフォームですが、現在では台湾、ブラジル、メキシコ、チリ、コロンビア、ペルーなど展開国を大幅に拡大しています。インドネシアでも、2022 年の第 4 四半期には月間訪問者数が1億8,100万人に達し、Google Play/Apple StoreともにNo.1のダウンロード数となりました。モバイルに特化したインターフェイスや、Shopee Liveなどのインタラクティブショッピング機能が充実しているのが特徴で、年々利用率が高まっています。

2.Tokopedia: Shopeeに僅差で迫る、インドネシア発サービス

Tokopedia(トコペディア)は2009年にインドネシアで設立され、十数年の間に一気に最大級のマーケットプレイスに成長しました。1.3億人以上の月間アクティブユーザー(2022年時点)がアクセスし、1000万以上の販売者がおり、ローカルな中小企業やハンドメイド作品の出店者も多いく、インドネシア国内に特化したサービスといえます。最近ではホテル予約や飛行機予約などにもサービスを拡充しており、ますます利用者が増えそうです。インドネシア市場へ参入するにあたっては、確実に検討したい販売チャネルです。

3.Lazada: シンガポール発、東南アジアのAmazon

Shopee、Tokopediaほどではありませんが、インドネシアでも一定の利用者がいるLazada(ラザダ)。シンガポール発で元々はドイツ系の企業でしたが、2016年にアリババが買収したことで話題になりました。
東南アジア全域で非常に高いシェアを持ち、2030年に3億人の顧客へのサービス提供を目指しているそうです。Lazadaは東南アジアのAmazonとも呼ばれていますが、幅広い商品カテゴリだけではなく、商品登録方法やフルフィルメント、カスタマサポートなど、出品者にも多くのメリットのある仕組みが非常に似ていることが理由です。また、SNSとの連携も強く、効果的にマーケティングができることも大きなメリットで、東南アジア全域を狙うなら検討しておきたいチャネルです。

インドネシア現地でも、Shopee派?Tokopedia?と話題になるほど、TOP2が競り合っているようですが、やはり展開国の多さや商品カテゴリの幅広さから、最近ではShopeeに軍配が上がることが多いようです。
共通しているのは、個人間取引(CtoC) と事業者から消費者への取引(BtoC)の両方が可能で、プロモーションや割引キャンペーンなどのオファーが充実していること。また、インドネシアは他国と比べてクレジットカード普及率が低いこともあって、デビッドカード、OVO (インドネシアで最も利用されているスマホ決済) ・GoPayなどの電子決済、銀行振込など、独自サービスとして様々な決済方法の選択肢が用意されていることも人気の理由です。

自社で越境ECを検討する場合、こうした巨大プラットフォームとただ競り合うのでは勝ち目がありません。集客チャネルの一つとして利用したり、SNSとも組み合わせることで、戦略的に活用していきましょう。

抑えておくべき参入ハードル

言語と文化

インドネシアの主要な都市では、バハサ・インドネシア語が公用語とされています。国民のうち87%がイスラム教徒なので、イスラム教関連の国民的祝日や連休などに合わせてイベントやプロモーションを考えることも必要になってきます。
イスラム教では毎年8月頃に、断食を行う「ラマダン」、そして断食明けを祝う「レバラン」という期間があります。その間は大型連休になるため、日本で言うとお正月のように、里帰りをしたり、親戚一同で集まったり、企業主催の様々なプロモーションやキャンペーン、イベントなども行われています。

決済方法

インドネシアではクレジットカードの普及率が低いものの、スマホ決済は年々利用率が高まっています。OVOやGoPayなど、現地で人気のある電子決済サービスを組み込むことは、スムーズな顧客体験のためには必須事項となるでしょう。

物流インフラ

インドネシアは地理的にも広大な島国であるが故に、物流インフラの整備は特に重要課題と言えるでしょう。現在利用されている主な物流会社をご紹介します:

  • J&T Express: インドネシアのeコマース業界に特化したサービス・ピックアップ、配送、商品の返却など
  • Ninja Van: 東南アジア全域の幅広い企業へサービス提供・ハイテクノロジーで運用負荷が少ないことが利点
  • Sicepat Ekspres: インドネシアの物流会社・クーリエ配送、倉庫保管、貨物サービスなどの複合サービス
  • AnterAja: 発送から配送まで、エンドツーエンドのソリューションを提供する物流プラットフォーム
  • aCommerce: 東南アジアをリードするeコマースソリューションサービスを提供
  • Pos Indonesia: インドネシアの国有郵便サービス・物流サービスも提供
  • JNE Express: インドネシアのクーリエサービスおよび物流会社
  • Lazada eLogistics (LeL): 東南アジア最大のオンラインショッピングプラットフォーム、Lazada独自のフルフィルメントネットワーク
  • Shopee Express: オンラインマーケットプレイスShopeeの社内物流サービス・インドネシア全土で代金引換サービスを提供

まとめ

経済発展と人口増加に伴って、インターネット普及率も急速に高まっているインドネシアは、越境EC事業を検討するにあたってはぜひ考慮したいマーケットです。ただし、デジタル化のスピード感とは相反し、2022年に個人情報保護法が初めて施行されたばかりなど、運用にはまだまだ課題も多いのが実情です。本格的な参入を目指すには、現地調査やローカルな競合企業の調査は不可欠になるでしょう。

とはいえ、世界でも話題になるほどSNSエンゲージメントが高く、デジタルチャネルの利用者がますます増えることは容易に想像ができます。独自の文化や習慣の理解をし、効果的なSNSマーケティングも併せて検討が必須になりますが、今後の成長に大きな期待の持てる国であることは間違いありません。

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