インフルエンサーの探し方のポイント

ECコラム

はじめに

こんにちは。コンサルタントの坂元です。
本コラムでは、インフルエンサーを探す時のポイントについて紹介します。

ソーシャルリスニングの重要性

●ソーシャルリスニングとは?

ソーシャルリスニングは、ソーシャルメディア上での言及や議論、トピックのトレンド、ユーザーの感情や意見などをモニタリングするプロセスです。ソーシャルメディアだけではなく、ECサイトのレビューやブログの意見、特定コミュニティのコミュニティサイトのリスニングもインフルエンサーを探す際に重要になります。

●ソーシャルリスニングの需要性

ソーシャルメディアやEC上で自社ブランド名や類似商品の競合ブランド名、商品カテゴリーを検索すると、色々な投稿やレビューが表示され、そこからインサイトを色々取得することが可能です。ソーシャルメディアやレビューサイト等で自社・類似競合商品の口コミを読み込むことによって、ターゲットの特徴や商品が利用されているTPO、需要がある商品特徴、需要がない商品特徴、ユーザが購入する際のポイント、類似商品に対しての不満、購入した商品のプロコン等のインサイトを収集することできます。これらの情報はどのような特徴を持つインフルエンサーを探せばいいかのヒントをくれます。

●弊社で行った事例

例えば海外市場で、某アイスクリームで競合のソーシャルリスニングを実施した際に、「少しだけ健康意識がある人」が類似アイスを食べていたことがわかりました。理由としては「腹持ちがいい」「甘さが控えめなため罪悪感が少ない」「比較した時に他のアイスクリームの種類より砂糖が少ない」というインサイトを収集することができました。日本ではこの類似アイスに対しそのような意見を聞くことはほとんどなかったのですが、海外ではこういった意見が多くあり、意外なインサイトを取得することができました。そのため、本来20代をターゲットにしていましたが、30代にも「罪悪感が少ないアイス」や「甘さ控えめ、罪悪感控えめ」というプロモーションを実施したところ、高評価を得ました。

手動で探す時のポイント

●手動で探す方法

  1. InstagramやYouTube、現地SNS等でキーワードを検索する(例:キャンプ好きがターゲットであれば「#camp」とか「#campandbeer」など)
  2. 目標フォロワー数とエンゲージメント数を決めて、その目標数値に当てはまる人を抜粋します。重要なのはエンゲージメント数を見ることです。やり方は様々ですが、手動の場合は過去30-50投稿のエンゲージメント(=コメント、シェア、いいね!等)を見て、1投稿あたりどれぐらいの人が反応しているのかをみます。そこで何人が見てくれれば、何人が購入してくれるという仮説を踏まえた上で、どれぐらいのエンゲージメント数を確保する必要があるのかを決めます。それによってどれぐらいのエンゲージメント数を確保しているインフルエンサーが何人必要なのかを計算することができます。当然この数値は最初に算出することが難しいため、最初はマイクロインフルエンサーやナノインフルエンサー等でスモールスタートでインフルエンサー施策を実施して、「どれぐらいのエンゲージメント数を確保する必要があるのか」を理解しましょう。
  3. 抜粋したインフルエンサーのソーシャルメディアページを見て、自社商品の特徴に合っているインフルエンサーかを見ていきます。例えばターゲットはキャンプ好きだが、特にキャンプでお酒を飲む人が自社商品を好む傾向があれば、キャンプ中にビールの写真をたくさん投稿しているインフルエンサーを選ぶなどです。
  4. 抜粋したインフルエンサーのソーシャルメディアページを見て、エンゲージメントの割合を見ます。例えばコメントが多い場合はしっかり投稿を見ている人が多いと予測ができ、シェアが多い場合は投稿が拡散される確率が高い等のことが予測できます。
  5. 抜粋したインフルエンサーのソーシャルメディアページを見て、過去に紹介している商品があるか、その反応(例:宣伝商品に対して好評的なコメントが多い)はどうだったか、を分析しインフルエンサーを選びます。
  6. インフルエンサーに声がけをして、施策内容を説明し、条件を交渉して、契約を交わします。
  7. インフルエンサー施策を実施して、インフルエンサーに対して支払いを行います。

●手動で探す時のポイント

・公式なSNSページの作成:プラットフォームや代理店を使わない場合は自らインフルエンサーにコミュニケーションを取る必要性があります。その時に個人のSNSアカウントでインフルエンサーに連絡を取る場合はインフルエンサー側に信用されないことがあるため、公式なSNSページを作り、フォロワーを増やし(ある程度の数があれば大丈夫なので社員でも大丈夫です)、投稿を増やして、公式なSNSでインフルエンサーに連絡を取ることを推奨します。

・条件の整理:手動で探す場合は自らインフルエンサーと条件の交渉をする必要性があるので、この条件を整理してインフルエンサーにしっかり伝えることが重要になります。よくある条件を下記にあげます。

A.どこに(例:Instagram)どれぐらいの頻度で何を(例:商品紹介をしているStoriesを)インフルエンサーが投稿するのか、B.金額、C.スケジュール、D.インフルエンサーにして欲しくない行為(例:他社と比較)、E.インフルエンサーの投稿内容を事前に確認するのか?その場合は何回確認して、インフルエンサーは投稿内容を修正する必要があるのか?

・契約の準備:インフルエンサー施策は数々のメリットがあり、必要不可欠なマーケティング施策だと考えますが、予測不可能な点が多いため、最初に契約を準備することを推奨します。

●手動で探す時のメリット

・詳細にインフルエンサーを探して選択することができます。
・インフルエンサーと関係性を保って、今後の施策にも参加してもらうことができるかもしれません。
・金銭的にプラットフォームや代理店よりは安く済むことがあります。

●手動で探す時のデメリット

・時間がかかります。
・ブランドの認知度が低い、提示している条件が悪い、コミュニケーションの取り方が悪いなどの場合は、インフルエンサーに声がけしても反応してくれない可能性があります。
・現地の言語でインフルエンサーとコミュニケーションを実施する必要があります。
・現地の言語の契約書を準備する必要性があります。

検索ツールで探す時のポイント

●検索ツールで探す方法

インフルエンサーを探す際に役立つ、インフルエンサー検索ツールも多数あります。ツールによってできることやできないことがあるため(例:ツールでインフルエンサーは探せますが、ツール内で連絡を取ることができない)ツールの機能を理解した上でツールの選択を行ってください。基本的な検索ツールでは特定のキーワード(例:食べ物)やメディア(例:Instagram)を入力をして、その検索条件に合ったインフルエンサーが表示されます。多くの検索ツールではエンゲージメント率が表示されますので、フォロワー数とエンゲージメント率を見て、どれぐらいの効果がありそうか(=どれぐらいの人が反応してくれそうか)を見て、インフルエンサーを選択することができます。

●検索ツールで探す時のポイント

・まずは手動でインフルエンサー施策を行うことを推奨します。理由は手動でインフルエンサー施策を実施した時の課題によってどの検索ツールを使うべきかが決まるためです。例えば手動でインフルエンサー施策を実施した際に多くのインフルエンサーは反応してくれなかったことが課題である場合は、ツール内でコミュニケーションも取れるインフルエンサー検索ツールを選択すべきです。
・どれだけインフルエンサー施策が効果的で、どれぐらいの頻度でインフルエンサー施策を実施するのかを理解した上で検索ツールを選択した方がいいです。理由は多くの検索ツールはお金がかかり、1年契約の検索ツールが多いためです。

●検索ツールで探す時のメリット

・インフルエンサーを探す時間は減少する可能性が高いです。
・プラットフォーム内でインフルエンサーとコミュニケーションができる検索ツールであれば、インフルエンサーからの反応が手動で探すより高くなる傾向があります。
・検索ツール内でインフルエンサーに対しての支払いができればオペレーションの時間短縮にもなります。
・インフルエンサーと関係性を保つことができるかもしれません。

●検索ツールで探す時のデメリット

・検索ツールの利用料金が掛かります。
・詳細な条件でインフルエンサーを探すことが難しいことが多いです。
・現地の言語でインフルエンサーとコミュニケーションを実施する必要があります。
・現地の言語の契約書を準備する必要性があるります。

代理店を使って探す時のポイント

●代理店で探す方法
ネットで検索をして、特定の市場(例:米国)でインフルエンサー施策を行っている代理店を探してください。特別な商品の場合(例:サプリメント)はその商品の事例が多い代理店を探すことを推奨します。

●代理店で探す時のポイント

・RFPを準備しましょう。目的や金額、期間、商品特徴、どういうインフルエンサーを探しているのか等を整理し、準備した上で代理店と話しをしてください。
・ソーシャルリスニングは実施しましょう。代理店にどのようなインフルエンサーを採用するべきかのアドバイスは聞いた方がいいですが、鵜呑みにすることは危険なので、ソーシャルリスニングを実施した上でどのようなインフルエンサーが良さそうなのかを自ら理解した上で代理店と話すことを強く推奨します。
・ミニマムフィーのヒアリングをしましょう。代理店によっては最低XXX円を投下しないといけないという条件があるため、まずはそのミニマムフィーのヒアリングをしましょう。

●代理店で探す時のメリット

・時間短縮が出来ます。
・インフルエンサーとの現地の言語でのコミュニケーションや現地の言語での契約書の作成等が必要なくなります。
・どのようなインフルエンサーが自社商品に向いているかの知見が代理店側にあるかもしれません。
・どれぐらいエンゲージメント数や規模、数のインフルエンサーを活用すべきなのかのアドバイスをしてくれることがあります。

●代理店で探す時のデメリット

・金銭的なコストが高い可能性があります。
・ミニマムフィーが高い場合はスモールスタートが難しい可能性があります。
・インフルエンサーと関係性を保つことが難しいです。

インフルエンサー施策全体のポイント

ブリーフの重要性:コンテンツの事前確認を嫌がるインフルエンサーは多く、またコンテンツの事前確認ができたとしても修正点が多い場合はプロジェクトから離脱することもあるため、できるだけしっかりしたブリーフを書いて、施策の前にインフルエンサーに提示して合意することが重要です。

条件のポイント: 特に海外だとあまり多くの条件を提示するとプロジェクトに参加したいインフルエンサーが減るため、優先順位の高い条件のみを提示しましょう。

ステルスマーケティング: 多くの国ではステルスマーケティングが禁止されているため、インフルエンサー施策を実施する際にはプロモーションであることをしっかりインフルエンサーに明記させることが重要です。

法律: インフルエンサーに「XXXが良い」という具体的な訴求ポイントを言わせることが禁止されている国もあり、またインフルエンサー自身が自社商品の良さを見つけてくれることもあるので、あまり訴求ポイントについての条件は提示せず、ブリーフには貴社が強みだと思っていることを明記することを推奨します。

コンテンツの2次利用: インフルエンサーの投稿を2次利用するのかを決める必要があります。メリットはユーザコンテンツは広告としても、コンテンツとしても購入者にとって信憑性があり、広告のクリック率等の数値実績が向上することが多いです。デメリットは追加コストやインフルエンサーが嫌がることがあることです。

スモールスタートからのPDCA: インフルエンサー施策は非常に効果的である可能性を持つ施策ですが、その反面予測が難しいことが多いため(例:予測効果やインフルエンサーの反応率、インフルエンサーが投稿したコンテンツがどのようなものになるのか)、スモールスタートから実施をして、知見を貯めること推奨します。インフルエンサー施策を単発的な施策ではなく、長期的に改善をして実施する施策として考えていただければと思います。

まとめ

以上のように、インフルエンサーの探し方を理解をし、これらを最大限に活用することでビジネスの成長を実現することが可能です。また、インフルエンサー施策は効果的である可能性がある反面、色々と予測が難しいマーケティング施策ではあるので、長期的な視野で実施することが重要です。

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