ブランドが中国ECライブ配信の主役になった

ECコラム

背景

こんにちは。コンサルタントのSophieです。
コロナ感染以降、「李佳琦(LiJiaqi)」、「烈儿宝?(Lie Er Bao Bei)」など耳にすることが多い天猫ECのトップインフルエンサーたちのトラフィックや販売量は以前と比べて大幅に減少しました。
その理由の一つとして、SK-II、キュレル、アネッサなどのブランドライブ配信が増え、インフルエンサーとの提携回数を減らし、または彼らとの提携を選ばずに、自社での直接的なライブ配信販売を選択するという理由があります。その背後にある理由は何なのでしょうか?

強力な販売力とそこに潜む不利益

ブランドの一つの製品がインフルエンサーによる一度のライブ配信で数千個、数万個と一瞬で売り切れることに私たちはしばしば驚かされます。しかし、実際には、その裏でブランドが損失を出していることが少なくありません。主な理由は、インフルエンサー達は売り上げを上げるために、通常の販売価格よりもはるかに低い価格で販売することを要求するためです。それにより、利益の余地が非常に小さくなり、さらには赤字になることさえあります。また、ブランド側はインフルエンサーにコミッションとスポット料を支払わなければなりません。インフルエンサーによって”スポット料”は異なり、通常は30万円から300万円の範囲です。李佳琦などのトップインフルエンサーにとっては、「コミッション+スポット料」の協力モデルが一般的で、一部は販売量と関わりしています。

次に、ライブ配信時の売上高が高くても、その後の非常に高い返品率がブランドに苦悩をもたらします。 また、インフルエンサーによる商品の販売を通じて、ブランドとファンが関係を築くことはほぼ不可能と言えるでしょう。ファンはブランドに対する忠誠心を欠き、顧客のLTV(顧客生涯価値)を向上させるのは困難です。例えば、李佳琦の力で注目された中国化粧品メーカー「花西子」は典型的な例です。李佳琦が推奨した商品は好調な売上を見せていますが、推奨されていない商品はほとんど売れませんでした。これはファンが李佳琦のファンであり、ブランドのファンにはなっていないことを証明しています。

継続は力なり

以上の問題により、ますます多くのブランドが自社でのライブ配信を選択するようになりました。これにより宣伝費を削減できるだけでなく、より多くの主導権を握ることも可能です。ブランドは高額なスロット料金や手数料を支払う必要がなく、コストもコントロールできます。自分たちでパーソナリティを募集し、管理、訓練、ライブ配信の流れを自社のペースに合わせて完全に調整することが可能になり、これにより予期せぬトラブルの発生を減らすことができます。

また、ブランドの直接的なライブ配信は、積極的にファンとコミュニケーションを取り、彼らとの感情的なつながりを築くことができます。ブランドの直接的なライブ配信は持続的で安定した成果をもたらすプロセスです。初めはファンの数も販売量も少ないかもしれませんが、ファンの質は人数よりも重要です。ブランドの直接的なライブ配信を通じて得られるファンは、ブランドを本当に愛するファンであり、ブランドに対する忠誠度も高いでしょう。顧客のリピート購入率が増えLTVが向上すると、それに伴い全体の販売量も増加します。また、ブランド側はファンから様々な提案を直接聞くことができ、消費者の真のニーズを理解し、製品の機能改善や店舗のサービスレベルの向上に役立てることができます。

さらに、ブランドの直接的なライブ配信を通じて、ブランドの知名度を大幅に向上させることができ、消費者をオフラインの実店舗に引きつけ、店舗の売上を促進することができます。ブランドの直接的なライブ配信は、非常に長い広告映像のようなものです。屋外広告や数秒の広告クリップに比べて、ブランドの直接的なライブ配信は製品の説明を通じて、ブランドの理念をゆっくりとファンに伝えることができます。ブランドの知名度はファンの増加とともに持続的かつ安定的に向上します。同時に、顧客のブランドに対する印象が深まると、顧客に特定のニーズが発生したときに、まず最初にそのブランドの製品を思い浮かべ、近くの実店舗で購入します。これにより、オンラインのライブ配信がオフライン店舗の訪問数と販売量を増加させるという効果を得られるのです。

組み合わせの戦略

ブランドの直接的なライブ配信を成功させるには、単にライブ配信だけでは十分ではありません。いくつかの戦術を活用する必要があります。まず第一に、同じブランドが異なるターゲット顧客を対象としている場合、優れた実力を持つブランドに対しては、2~3つのアカウントを同時に開設することをおすすめします。例えば、スポーツブランドなら、一つのアカウントは靴に特化し、二つ目のアカウントは衣服に特化し、三つ目のアカウントはスポーツ用品に特化するなどです。

次に、新しいファンをライブ配信に引き付けるためには、ターゲットでないユーザーの獲得にお金を使うよりも、クリエイティブなコンテンツを通じて目標とする顧客を引き付ける方が良いでしょう。ブランドのアカウントが投稿する動画が現在のトレンドに合致し、関連するタグがつけられていれば、無料の流量を得ることができ、目標とするユーザーをライブ配信に引き付けることができます。

さらに、ライブ配信を行う際に、実店舗、企業のオフィス、または工場などからライブ配信を行うことも効果的で、ファンに現地にいるようなリアルな体験を提供できます。これにより、ファンは店舗の場所を知るだけでなく、製品の製造過程を見学することができ、彼らの製品への信頼を高めることが可能です。

まとめ

ブランドのライブ配信には利点も欠点もあります。知名度が低いブランドにとっては、最初のファンを集めるプロセスが困難ですので、まずはいくつかの有名なパーソナリティとの提携をおすすめし、知名度を高めた後に自社での直接的なライブ配信を開始することを提案します。また、自社での直接的なライブ配信は、持続的な成果を上げるために長期的な人員と資金の投入が必要です。したがって、自社での直接的なライブ配信を開始する前には、様々な要素を考慮する必要があります。

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