越境ECのメリットと課題を考える

ECコラム

はじめに

こんにちは。コンサルタントの齋藤です。
越境ECとは、自国の国境を越えて他国で商品を販売したり、他国から商品を購入することを指します。越境EC市場は急速な成長を続けており、経済産業省の調査によるとその規模は2026年には4兆8,200億USドルにまで拡大すると予測されています。
その可能性とメリットを享受しつつ、課題点を理解し、効果的な対策を講じることで、越境ECを活用していく方法を考えましょう。

越境ECのメリット

越境ECがもたらす最大のメリットの一つは「市場の拡大」です。これは特に、人口減少とそれに伴う市場縮小が問題となっている日本の企業にとって重要です。

日本の人口は、少子高齢化という絶対的な事実により、年々減少傾向にあります。厚生労働省の人口動態統計によれば、日本の出生数は、2022年にはついに80万人を下回り過去最低を記録し、また、日本の総人口は前年に比べ55万6千人(-0.44%)の減少となり、12年連続で減少しています。この傾向は今後も続くと予測されており、少子高齢化は日本経済全体に広範な影響を及ぼし、持続的な経済成長の障壁となる可能性が想像に難くありません。

しかし、越境ECを活用すれば、国内市場に縛られることなく、世界中の顧客に製品やサービスを提供することが可能になります。これは、商品の販売先を大幅に拡大することを意味します。この市場の拡大は、販売ボリュームの増加だけでなく、新たなビジネスチャンスや視点にも繋がります。世界各地の顧客からフィードバックを得ることで、新たな製品開発や改善、またはマーケティング戦略の修正につながる洞察を得ることが可能だからです。つまり、越境ECは、人口減少と市場衰退の問題に直面している日本の企業にとって、市場を拡大し、ビジネスの可能性を広げる強力な手段となるのです。

また、越境ECは、ブランドを国際舞台に立たせ、その認知度と信頼性を増幅する役割を果たします。企業が自社の製品を世界各地で販売し、多様な地域からの購入を実現することで、製品が全世界の消費者に受け入れられている強力な証明となります。これにより、企業はそのブランドがグローバルな評価を得ているという印象を顧客に与えることができます。そして、これはブランドの信頼性と品質を象徴し、新規顧客に対して信頼感を生み出す効果を持つでしょう。

越境ECを始める上での課題

しかしながら、越境ECにはいくつかの課題も存在します。

まず第一に、国境を越えて商品を送る際には、配送費用、税金、関税、配送時間等の問題が発生します。これらは費用を増加させ、配送遅延を引き起こす可能性があります。

また、越境ECを行う場合には、販売先の国ごとに異なる法規制に対して適応する必要があります。これには、税法、消費者保護法、データ保護法などが含まれ、その全てを把握するには莫大なコストと時間を費やすこととなるでしょう。

最後に、言語と文化の違いの理解です。ただし近年の目まぐるしいAI(人工知能)の発達により、言語の違いによるコミュニケーション障壁は以前よりも低くなっていると言えるでしょう。一方で文化の違いを理解することについては、販売する製品の選択と価格設定から、マーケティング戦略、プロモーション方法の選定、顧客対応のコミュニケーションの取り方まで、ビジネスのあらゆる面に影響し、越境ECで成功するための重要な要素と考えられます。

越境ECを考える上で注目すべきこと

越境ECの展開を考える上で、注目すべきは「フロンティア市場への展開」と「AI(人工知能)の活用」の二つの観点です。フロンティア市場への展開とAIの活用は、これから越境ECを考える企業にとって、未来を大きく左右する要素となり得ます。

  1. フロンティア・マーケット
    フロンティア・マーケットとは、新興国(エマージング・マーケット)より更に小さい市場を指し、経済的な発展がこれからの国々や地域を指します。これらの地域は、人口が急増しており、それに伴い消費者市場も急速に拡大しています。また、現在はインターネットやECの普及がそれほど進んでいないものの、急速にデジタル化が進んでおり、特にインターネットとスマートフォンが普及することで、これらの地域の消費者がオンラインショッピングを活用する可能性が増しており、未来の大きな市場となる可能性を秘めています。これらの市場に進出するためには、文化的な違いや地域特有の商習慣、規制への理解と適応が求められます。しかし、これらの挑戦を乗り越え、いち早く市場に参入することができれば、大きなビジネスチャンスを手に入れることができるでしょう。
  2. AIの活用
    一方、AIの活用は越境ECがさらなる発展を遂げるための重要な要素となります。AIは商品推奨、価格設定、在庫管理、フロード検出など、EC運営におけるさまざまな領域で活用可能で、その効率化と最適化に大きく寄与します。特に注目すべきは、言語障壁の克服、顧客サービス、そして豊富なデータ分析の実現ではないでしょうか。
    AIによる自動翻訳や自然言語処理の進化は、言語の障壁を越え、商品をグローバルに展開することを可能にします。また、AIチャットボットを活用することで、コスト削減が実現できることはもちろん、24時間365日、どの時間帯でも対応可能な顧客サービスの提供を可能にします。そして、AIを活用してECサイトから得られる大量のデータを深く分析することも可能です。AIは、消費者の購買パターン、行動傾向、検索履歴などを分析し、それを基に個々の消費者にパーソナライズされた商品推奨やプロモーションを提供できます。これは顧客満足度の向上と売上向上に深く寄与します。

まとめ

越境ECは、多くのメリットをもたらしますが、一方で、物流、法規制の遵守、言語と文化の違いといった課題に直面します。しかし、デジタルインフラの発展、新興市場の成長、そしてAIの進歩により、その可能性はますます広がっています。越境ECの今後の発展に向けて、これらのメリットとデメリットを理解し、適切な戦略を策定することが必要となるでしょう。

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