Tri Petch Isuzu Sales Offline Seminar

はじめに

こんにちは。イーライフの新規・戦略 コンサルタント富田です。

弊社が提供するPRM (Partner Relationship Management)を軸としたサービスや、提供先のお客様は実に多岐にわたります。そんな私たちイーライフがお手伝いする各企業のマーケティング活動をご紹介したいと思います。

今回は、私がアカウントマネージャーを務めているプロジェクトで、ASEAN市場を担当しているTri Petch Isuzu Sales様(トリペッチいすゞセールス様。以降TIS社)へのコンサルティング活動として、私も同行したPRM勉強会開催の様子を、タイ市場のデジタルマーケティング動向やTIS社が持つ課題にも触れつつご紹介いたします。

TIS社は1974年に創業したタイにおけるいすゞ自動車の総販売元です。
80年代後半からタイでは「ピックアップトラック」が定着しています。商用車メーカーであるTIS社はタイ全土に約300以上ある販売店で人気を博し、特にピックアップトラックにおいては大きな販売シェアを誇っています。

ただ近年は、タイの消費者の購買スタイルに変化が生じてきました。スマートフォンによるオンラインでの情報収集が増えたことです。とくにタイは日本と似てLINEやFacebookによるコミュニケーションが盛んな国です。来店前にLINEを使ってディーラーと交渉する客も珍しくありません。

またFacebook、InstagramなどのSNSを通した情報収集やコミュニケーションも、購買行動やロイヤルティ形成に大きな役割を担っていることは言うまでもなく、TIS社もデジタルマーケティングの強化を重要視しています。

TIS社の取り組み

顧客向けWebアプリ「my-Circle」ではユーザーが所有車を投稿している

2022年9月、TIS社は顧客データの一元化と顧客とのデジタルコミュニケーションを強化するため、顧客基盤およびCRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)ツールとして、オーナー向けオンラインコミュニティ「my-Circle」を開発しました。リリース後6カ月間で登録者は30万人を超え、現在も堅調に推移しています。

近年、オンラインで立ち上げたコミュニティがオフラインでも繋がっていく形は珍しくありません。タイでもビジネスや趣味を通した交流は盛んで、定期的にオフラインで集まるコミュニティも数多く存在します。オンラインで知り合った仲間とサイクリングや山奥にキャンプに出かけたりとアクティブに活動しています。

TIS社でも、ディーラーショップや車種単位で数十のオフラインコミュニティが存在していますが、課題もあります。そのひとつは、新たにオープンした「my-Circle」を、既存のコミュニティと、どうやってうまく連携させ、さらにどう活性化していくかです。

また、現在ローカルディーラーたちによって多数運営されているオフラインコミュニティを維持しながらも、いかにTIS社全体として共通のISUZUブランド価値を訴求していけるかも課題でした。

PRM勉強会を開催

当日のセミナーの様子

2022年9月6日、コンサルティングの一環として、TIS社とイーライフはコミュニティマネジメントとPRM(Partner Relationship Management)に関する勉強会を東京で開催しました。

TIS社主催のもと、TIS社と業務提携している各ディーラーショップオーナー約30名の方に参加いただきました。そして登壇者は私富田と、TIS社のコンサルタントを担当している多良です。

まずはオーナー向けオンラインコミュニティである「my-Circle」の有効的な使い方を紹介し、デジタルコミニティ運営の実践的な各テーマについて解説していきました。
日々悩みを抱えている参加者の方々からは幅広い内容に質問が集まります。やがて、顧客ロイヤルティマネジメントに関する考え方や、コミュニティ活用の具体的施策例などについてディスカッションとなり、議論は白熱化しました。

多良は、各ディーラー毎に存在するローカルなオフラインコミュニティを維持しながら、いすゞのオンラインコミュニティとも連携しいすゞブランド全体の価値を高めてくれる長期的なファンを育成することの重要性を強調しました。

また参加者からの「リソースが限られる中、どのようにデジタルコミュニティを運営したら良いか」という質問には、「コミュニティはユーザーと一緒に育てていくもの。デジタル上でもオフラインと同じ考え方で真摯に向き合っていけば、顧客にも伝わります。例えばコメント返信ひとつにも、毎日しないといけないのではとプレッシャーに思わず、実現可能なガイドラインを設けて安定的に実施すればそれでいいのです」とアドバイスをしました。

UGCの活用と共創について

とくに盛り上がったテーマは「日頃の顧客のエンゲージの高め方、そして維持の仕方」です。

タイでは日本のように車検制度がありません。そのため、自動車の購入後に定期的にディーラーを訪れる習慣もないのです。そこで、オーナー向けオンラインコミュニティ「my-Circle」でいかに情報発信し、コミュニティを活性化するかが重要になります。参加者の関心もそこにあり、購入時の一時的な盛り上がりで終わってしまわないようにしようと努力しています。

終了後には参加者の方々から「おもてなしだけではなく、顧客と共創するという考えに驚きました」「イーライフの経験豊富な知見がためになりました」「顧客の深いインサイトを共有することで従業員のモチベーションが上がるんだと知りました」などの嬉しい声が聞かれました。

参加者のとても強い熱意を感じた勉強会であり、また経験に基づいたフレームワークを求められるのは万国共通であると改めて認識しました。

イーライフのASEANにおけるサポート事例

イーライフではほかにもASEANの国々や中国において、デジタルコミュニティの運営についてサポート活動をしています。以下一部ですが紹介させてください。

【Wan Thai Foods Industry Co., Ltd.の例】
インスタントヌードル事業を中国に広げようとオフラインでビジネスを展開。その後、コロナ禍による需要急増に伴い、総合的なデジタルマーケティングを企画し、実行に移す。公式プロモーションとリアルなKOC(Key Opinion Consumer)を掛け合わせ、ユーザーの関心とロイヤリティを向上させて、商品の認知に成功。主要SNSで質の高い口コミを活性化させてブランドイメージを確立した。

【東亞合成株式会社の例】
主力商品である接着剤の中国マーケット拡大のため、ジュエリーのリペアや手芸品、DIYなどを楽しみながら使用する画像や動画を拡散し、ECへ誘導した。またQ&Aサイトにおいて、同製品を使用する際のポイントなどの質問に、プロフェッショナルが回答。製品の信頼性向上に貢献するとともに、クロスメディアで豊富なUGCを得て、高いエンゲージメントの獲得に成功した。

各国の事情によってさまざまな違いがあっても、デジタルコミュニティの運営には共通した点が多々あります。今後もより多くの企業様のお役に立ちたいと考えています。

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