創業457年の西川株式会社が「お客さまの本音」を知るためにデジタルでやったこと


ファンマーケティング、D2Cなど言葉はさまざまだが、いま顧客と直接つながろうとする企業が増えている。この連載では、コミュニティをはじめとするPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)を実践するパートナー企業への連続インタビューにより、「なぜ直接つながる必要があるのか」「それに伴い企業は何を改める必要があるのか」を明らかにする。インタビュアーは花王で長らくブランドマーケティングに携わってきた弊社エグゼクティブ アドバイザーの石井 龍夫が務める。


今回は創業457年の老舗寝具メーカー西川株式会社を取り上げます。睡眠をテーマにした同社のコミュニティサイト「みんなの眠ラボ」(以下、眠ラボ)は、2023年10月上旬時点で会員数約8,470人、アクティブユーザー率約16%。2021年の立ち上げから順調に成長しています。

同社に特徴的なのは、コミュニティサイトで接点を持った顧客の声を他部署を巻き込んでさまざまな形で活用する動きが目立つこと。口コミによるブランド認知、イメージ向上など「外にどう広げるか」に軸足が置かれていた前回のJALとは少し異なる印象を受けます。

顧客とつながり、声に耳を傾け、それを生かすためにどのような取り組みをしているのでしょうか。「眠ラボ」立ち上げ当時からの運営メンバーである同社マーケティング戦略部の佐藤功之介さんと長尾さつきさんにお話を伺いました。

基本はBtoBtoCの会社

——西川さんは実店舗を持ち、対面で寝具や枕を販売するBtoCビジネスを展開されています。つまり、お客さまとの接点がすでにある。にもかかわらず、デジタルの接点として「眠ラボ」を作ったのにはどういった背景があったのでしょうか?

【佐藤】今「BtoC」と言っていただいたのですが、実は当社のビジネスの基本は「BtoBtoC」なんです。卸先である百貨店さまはもちろん、「西川チェーン」と呼んでいるのも「まちの寝具専門店さま」。そのため、実際はお客さまとの直接の接点があるようでありません。

もともとは「いいものを作っていれば買っていただける」ということでやってきましたが、近年は情報が溢れ、競合の参入も増えたことでなかなかそうはいかなくなっています。お客さまのことをもっと知る必要がありますし、我々のことをもっと伝えていく必要もある。こうした文脈で2004年に直営店を始めることになりました。

ですが、2020年にコロナ禍に入り、お店で接客できない状況が生まれました。そこで新たに設けられたのが、私と長尾の配属されたデジタル戦略(当時)という部署。ホームページやSNSなどを使ってさまざまなデジタルコミュニケーションを行っているのですが、その中で「直接お客さまの声を聞き、こちらの声を届けるための場」としてコミュニティサイトを検討するようになりました。

西川株式会社 イノベーション・マーケティング戦略事業部 マーケティング戦略部 課長 佐藤功之介氏

——デジタルでつながることにはリアルな接点である直営店とはまた別の意味合いがありますか?

【佐藤】直営店を持っていると言ってもその数は少ないです。また関東圏に偏っており、全国に接点があるわけではありません。デジタルであればそうした地理的な制約を超えてお客さまとつながることができます。

また寝具はそもそも買い替え頻度が低いです。石井さんもおそらく今お使いの布団をいつ買ったかを覚えていないのではないでしょうか?そのような中で次の買い替えのタイミングでもう一回選んでもらうには、単につながるだけでなく、つながり続けることが重要です。その点もコミュニティサイトがいいだろうと考えた理由です。

——直営店があるとは言っても、一人のお客さまがそう頻繁に訪れるわけではないと。その点、営業経験をお持ちという長尾さんから見るといかがですか?

【長尾】正直に言って百貨店や専門店に頻繁に足を運ぶかといわれるとそうではありません。量販店を訪れるお客さまの中にも、どの会社が何を出しているかを把握している方は少ないのではないでしょうか。

という中では、やはりウェブのつながりはすごく大事だと思います。ブランドや商品の魅力を広めるにはお客さまの口コミも重要な時代ですし。お店だけでなくウェブでもつながれる場を持つことは重要だと感じています。

西川株式会社 イノベーション・マーケティング戦略事業部 マーケティング戦略部 長尾さつき氏

布団ではなく眠りのコミュニティ

——コミュニティの最終的な目的は寝具を買ってもらうことですか?

【長尾】コミュニティがきっかけとなってご購入いただくのはもちろん嬉しいですが、私は「その先」もあると思っています。購入していただいた後にその方がコミュニティだったり口コミサイトだったりで発信してくれて、その熱をさらに拡散してもらえるというのが最終的ないい形なのかなと。

【佐藤】先ほども触れたように継続して接点を持てることが大きいと思っています。毎日寝具について考えるという人は仕事でもない限りあまりいません。普通はお困りごとがあったり引っ越すタイミングだったりに「布団を替えてみるか」と考える方が多いと思います。その時にいかにうちを思い出してもらえるかが大事です。

いろいろと検討した結果、お客さまが当社のもの以外を選んだとしても、それが良い生活につながるのであればそれでもいいと思うんです。ただ、少なくともその際の選択肢の一つには入れていただきたい。その接点作り、思い出してもらうための場というのが一番の目的だと思っています。

頻度高く顔を合わせている人には親近感も湧きやすいですし、困ったことも相談しやすい。それと同じような雰囲気作りがコミュニティをやっていく上で最も重要ではないかと。その中で、先ほど長尾が言ったようにお客さま同士の輪ができて交流が始まるということもあると思います。

当社の調査によれば、長年マットレスを愛用いただいていて、我々が「西川ファン」だと思っている方でも、羽毛のこととなると「西川さん、羽毛もあるんですね」くらいの認識の方が案外いらっしゃる。そしてその逆もしかりです。そういう方同士がコミュニティ内で交流していただくことが新たな当社を知ってもらうきっかけにもなるのかなと思っています。

——御社のコミュニティサイトは「眠ラボ」であって「枕ラボ」でも「布団ラボ」でもない。あえて眠りに軸足を置いたコミュニティにしたのはなぜですか?

【佐藤】当社のタグラインは「よく眠り、よく生きる。」というもの。そこには「いい眠りをとることで明日の活力にしてもらう」とか「人生を充実させてもらう」といった思いを込めています。布団というアイテムはそのための手段という位置付けです。

当社は室町時代に近江八幡で創業しましたが、その当時は畳表や蚊帳などを扱っていました。その後、時代が求めるものの変遷に応じて都度取り扱う商品を変えてきた歴史があります。一貫して提供したいのは「いい眠り」であり、そのための道具が今この時代においては布団だということです。

ですから「眠りのコミュニティ」とすることは当社の本分から外れていないわけです。またもう一つの理由として、話題を寝具に絞ってしまうより寝具を含む眠りとした方が、コミュニケーションが取りやすくなるのではないかということも考えました。

——コミュニティを設計する上では、お客さまの声が出やすくするというのは大事です。布団をテーマにしてもなかなか声は出てこない一方で、眠りは毎日体験すること。なおかつ眠ることによって疲れがなくなるなど、その先もある。そのぶん声が出やすくなるということですね。

つながって初めて気づけた「本当の困りごと」

——商品や睡眠についてお客さまに知っていただくこととは逆に、コミュニティ内でのお客さま同士のやりとり、あるいは西川さんがお客さまと話す中で教わることもありますか?

【長尾】もちろんです。たとえばお客さま同士で質問をし合うQ&Aのコーナーを見ると「お客さまはこういうことに悩んでいたのか!」と気づくことができます。

毎日睡眠と向き合っている私たちからすると、当たり前すぎて疑問にも思えないこと。でもそういうところに実はお客さまが本当に困っていることが隠れていたりします。それを見落とさずに確認できるのはすごくありがたいです。

そこから「こういうことで悩んでいるのなら、商品ページや特集ページにそれを落とし込んで、丁寧に伝えることに取り組んでみよう」といった形で、ホームページだったりSNSだったりの発信内容に活かすことができています。

また、SNSで発信したものをさらに営業部に展開することで、店頭のPOPに活用するといったことも行っています。

——マーケティング・広報部門としての活動に止まらない動きがあるのはいいですね。

【長尾】こちらからの働きかけだけでなく、最近は各営業部署などから「こんなアンケートを取りたいんだけど」「この商品を使ってもらって、その口コミをそのまま店頭POPに使うことはできないか」などと相談や提案を受けることが増えています。

「眠ラボ」でモニターを募り、その方にテレビの通販番組に出ていただいたこともあります。モニター募集の条件は、商品を使った後にテレビに出て顔出しできること。さすがに抵抗のある人が多くて集まらないかなと思ったのですが、意外なほど集まっていただけたので驚きました。

——おそらく応援の気持ちがあるから顔出しだって厭わない。「眠ラボ」を通じて西川さんとお客さまの間で信頼関係ができていることの証でしょう。

【長尾】本当にありがたいです。ベースがファンの方というのはこちらとしても心強いですし、安心感があります。

——コミュニティを運営している企業はいくつもありますが、その実態はデジタル担当の部署だけが小さくやっていて、よその部署は我関せずということも多いです。西川さんは社内にしっかり認知してもらえているというのが素晴らしいですね。

【長尾】でもそれも3年目にしてようやくという感じです。最初は私がいくら「アンケートが取れますよ」「モニター募集できますよ」と言って回っても「うーん、機会があれば」という反応でした。社外的には順調に会員数が増えていたかもしれませんが、社内に聞くと「眠ラボ? なにそれ」という状態がしばらく続きました。

それが最近になってようやく「お客さまの生の声が取れるならアンケートを取ってみたい」「モニターで使ってもらいたい」という引き合いが増えています。「眠ラボ」で得られたお客さまの声を社内のいろいろな部署につなげる、またその逆にいろいろな部署に「眠ラボ」を活用してもらう。そういういいサイクルができてきているのを感じますし、それはお客さまの声があったからこそかなと思っています。

——ちなみにそういう声を商品開発に生かす事例などもありますか?

【長尾】お客さまの声を起点にゼロから商品を開発した例はまだありません。ただ、たとえば「クッションだったら硬めが好きか柔らかめが好きか」とか「座るときにどんなことに悩んでいるか。姿勢なのか腰痛なのか」など、あらかじめアンケートを取った上で開発に活かしたいという依頼はありました。

『Keeps クッション』の商品サイトより。眠ラボでニーズの把握を行った

社内的価値を早期に示し、味方を増やす

——社内認知が広がるのには何かきっかけがあったのですか?

【長尾】ある時、一つの部署が試しに使ってくれたら本当にいいアンケートが取れたんです。忖度ではないお客さまの本音を聞くことができ、「このデータであれば今度の商品開発に使えそうだ」というかたちでつながっていった事例がありました。

その部署が起点となって「ああ、そういうことがやりたいならデジタル戦略がやっている眠ラボで出来ないか相談するといいよ」という感じで広がっていきました。

今では「あれが取れる、これ取れる」が逆に多くなりすぎているくらいです。嬉しい悲鳴と言えばそうなのですが。

【佐藤】人と人との関係もそうですが、コミュニティは関係性なので育むのに時間がかかります。成果が見えづらいと、コミュニティが根付く前に「お金がかかるし、やめようか」となりかねません。社内的な価値をいかに早い段階で見えやすい形で出していくかが重要ではないかというのは、立ち上げ前から話していたことでした。

その短期的なKPIとして「直接お客さまの声が聞ける」「アンケートが取れる」というのは一つの価値として打ち出していきたいと考えていました。

長尾からも話があったように最近はそういう認識が社内にだいぶ浸透してきましたが、当然ですが最初はそうではありませんでした。ですから立ち上げ後の半年から1年は社内的にも実感しやすい価値を出していく方針をとりました。そうでもして早くに目に見える価値を出していかないと中長期が前提になる本来のコミュニティのような施策は続かないのではないかと。

我々も3年目なのでまだまだではあるのですが、いくつかの施策の中でたまたま一部の人たちに「眠ラボで一緒に何か出来るんじゃない?」という認識が広がっていったから今がある。それがコミュニティの本質かはわからないですが、続ける上では一部署だけでなく、西川全体でファンの方と向き合うことが大事なことなのかなと思います。

——社内的に価値を理解してもらわないと投資も続かない。最初からそれを考えた上で、どうすれば早期にフィードバックできるかを考え抜いたと。

【佐藤】関係性の構築は一朝一夕にできるものではないので、そこはかなり気を使いました。出そうと思ってもなかなかすぐには結果が出ないものだとも思うので。

——それが今になっていろいろとつながっているわけですね。

【佐藤】そこは現場担当である長尾の「相談しやすい」「何かやってくれるかも」と思えるようなパーソナリティも貢献してくれていると思います。「何か思いついてもなんとなく頼みづらい」というのでは、なかなか広まっていかなかったでしょうから。

コミュニティ運営において、社内的な価値提供の重要性に共感する、イーライフ エグゼクティブ アドバイザー 石井龍夫(写真左)

デジタル以前から息づく「小売的思考」の教え

——あえてネガティブなことも一つお聞きしたいのですが、御社にはもともと直営店もある。それぞれがお客さまと向き合い、日報的なものを通じてお客さまの情報を上げてきたはずです。デジタルの部門が直接お客さまとつながろうとすることに反発はなかったのですか?

【佐藤】その懸念はコミュニティに限った話ではなく、直営店を立ち上げる際にも考慮しなければならなかったことでした。

そのころから一貫する我々のスタンスは「お客さまの声をいかに製品やサービスに生かしていくか」というものです。そのためには卸先のお得意さまからの声も当然参考にしますが、それだけでは不十分。やはり直接つながって耳を傾けることも必要になってきます。

15年ほど前の当社にはまだ直営店もなく、完全に卸の立場だったわけですが、当時会社は「製造小売的思考をしなさい」と何度も言っていました。

それまではバイヤーさんが当社の商品にどういう価値を感じているのかを考えていたけれど、それだけではダメだと。最終的に商品が売れなければ、お得意さまの小売店に仕入れてもらえなくなる。その先にいるお客さまがどういう価値を感じて購入していただけているのか、そこまで考えなくてはいけないという話です。

となると、今のままではスピードが遅い。直接つながれる場も必要だということで直営店を立ち上げたわけですが、今はさらに時代が進んでインターネットが発達し、イーライフさんのようにお手伝いいただける会社もある。これまではリアルでしかできなかったことがオンラインでも可能になりました。

こうした文脈の中でのコミュニティなので、現場から反発が……といったことはありませんでした。

——直営店を作る段階から、吸い上げた情報をお得意先さまにフィードバックし、「我々がお客さまとつながることは皆さんにとってもメリットがあるんです」というコミュニケーションをしてきた。だからすでに理解ができていたということでしょうか。

【佐藤】そうです。例えば以前は、枕売り場は寝具売り場の中でも奥の方にありました。我々としては「枕はもっと需要があるはずだから通路側に置いてほしい」と言っていたのですが、それまでの慣習があってなかなか変えていただくことができませんでした。

であれば、うちが直営店で実験をしてみればいいのでは、と。そこでお客さまの反応が良ければ、お得意先さまにもそういう提案ができる。こうしたコミュニケーションを重ねた結果、今では通路側に枕売り場を置いてもらえることも増えています。

つまり、直営店は実証実験の場でもあるということ。そしてその実証実験の場が今はオンラインの「眠ラボ」にまで拡張されているということです。

——なるほど、よくわかりました。では今後やっていきたいことは?

【長尾】先ほどモニターの話をしましたが、今は逆に依頼が来すぎているような状況で。コミュニティがそのための場と化しているのが課題だと感じています。

これだと本当のファンではなく、懸賞目当ての人が増えてしまうかもしれない。その方たちがファンになってくれるのであればもちろん問題ないのですが、ファンのコミュニティではなくなってしまう懸念があります。お客さまに純粋に楽しんで参加してもらえるような企画コンテンツをもっと考えないといけないと思っています。

以前、私の発案で川柳企画をやったことがありました。ファンの方に睡眠がテーマの川柳を投稿してもらい、受賞した作品をPOPとして店頭に出すという企画です。私がもともと営業部に配属されていたというのもあり、どうにかしてコミュニティサイトと売り場をつなげたい、売り場に足を運んでもらうきっかけを作りたいという思いがありました。

この企画はそこまで成功したとは言えないのですが、でも今こそ初心に返って、ウェブだけで終わらず、少しでも店頭に足を運んでもらえるきっかけを作らなければと思っています。そのための新しい企画コンテンツに力を入れていきたいです。

川柳企画。大賞作品はPOPになり店舗に設置される

ファンはやがて最強の販売員になる

——ひと通りお話を伺ってきましたが、最後に追加で聞いてみたいことがあります。「眠ラボ」のページ右下に販売員の採用ページへ飛ぶボタンがありますが、この意図は?

「みんなの眠ラボ」のサイトトップ下部のバナーエリア

【長尾】そんな細かいところまで見ていただいたんですね(笑)。きっかけは人事部からの相談です。中途採用の募集がどうしたら増えるかを模索しており、デジタル戦略のサイトやSNSでうまく押し出せないかというのが相談の内容でした。

その場でいくつかアイデアを出したのですが、その中の一つがこの施策です。「眠ラボ」は西川のファンの方の集まり。だからここに一つあってもいいのではないかという話になりました。

——アリだと思いました。「眠ラボ」に集まっているのはもともと眠りに関心がある人たち。その人たちが正しい知識を身に付け、なおかつ西川さんのファンだというのなら「ちょっと近くの店で働いてみてもいいかも」というのはありそうな話です。

【佐藤】人事に「実際にどういう人が働いているのか」と聞いてみたんです。すると「眠りや健康に興味を持っていて、使命感を持った人たち」だと答えが返ってきたので、であればうちのサイトや眠ラボに来る人との相性はいいのではという話になりました。

以前、北欧暮らしの道具店の人にお話を伺ったことがあります。あの会社は年に1、2回、お客さまを対象に社員を募集しているんですよね。だから社員の8~9割近くがもともとお客さまだった人。そういう人が社員になっているから、自分が発信したい内容がそのままお客さまにも響くものになっている。その話を聞いて「それはすごいな」と思いました。

やはり熱量が大事じゃないですか。伝える人間の熱量を感じるから、それを受けた人の心も動く。コミュニティという意味では本当はそれをファンの方同士でやっていただくのが理想ですが。まずは社員の熱を高めるという意味で「それは確かにアリだな」と思いました。

——最初に見た時には「なぜここに?」と思いましたが、いやいや、よく考えてみると「お客さまと対等な関係を築き、一緒に何かを作っていく」というコミュニティの本質を突いている。こういう発想が出てくること自体が素晴らしいと思いました。コミュニティとはどういうもので、どうやってお客さまと付き合うか、その結果お客さまがどうなってくれると嬉しいのかということがちゃんと設計されている証だと思います。

インタビュー後記
「PRM実践企業訪問」 第2回は、西川株式会社さまを訪問させていただきました。
お話を伺って印象に残っているのは、「単につながるだけでなく、つながり続けることが重要」という言葉です。発信するだけで無く、アンケートに答えて頂いたり、気軽に質問して頂けるような関係をつくることでメーカーにとっては当たり前すぎて見落としていたお客さまの悩みに気づく、それらを記事や商品開発に活かすというお話は、なるほどと思いました。
また、コミュニティは中長期が前提なので社内に価値を理解してもらうことが投資獲得の面でも重要です。眠ラボは、立ち上げ当初から店舗に来ないお客さまの声も直接聞けるという価値を社内に打ち出し、さらにその声を売場の改善へとつなげ、直営店のみならず、お取扱店全般への支援という価値提供を実現している点は学ぶべきポイントですね。(インタビュアー/石井 龍夫)
イーライフ エグゼクティブ アドバイザー 石井 龍夫
花王株式会社にて14年間、数々のブランドマネージャーを歴任。新規事業としてアジエンスも立ち上げ。2003年からweb活用戦略立案・企画運営に携わり、デジタルマーケティングセンターを設立。センター長としてデジタルマーケティング活動を統括。2017年イーライフ エグゼクティブ アドバイザー就任。
早稲田大学 大学院経営管理研究科 非常勤講師、日本マーケティング協会マーケティングマイスター、日本アドバタイザーズ協会デジタルメディア委員会 委員、広告電通賞ブランドエクスペリエンス部門 審査委員長、C Channel株式会社監査役に携わる、マーケティングの第一人者。

(構成/鈴木 陸夫)